医学英語の数字の書き方-AMA Manual of Styleを基に
日本語の文章にも、文部科学省・文化庁が定める表記ルールや、報道機関や出版社による「用語の手引き」などがありますが、英語にも同じように表記についてのルールがあります。
私が習ったのは医学薬学分野の英文表記についてで、米国医師会(American Medical Association)によるAMA Manual of Styleというルールブックを基にしたもの。
これは、読みやすく誤解を招かない、正確に伝える文章にするためのスタイルブックです。
(日本のAmazonからも購入できますが、なかなかのお値段です・・・)
※本記事中記載の内容についてのご注意:言葉は時代とともに常に変化するものです。また意見の分かれる部分もあります。そして私自身もまだまだ勉強中ですので、記事内に不正確な記述が含まれる場合があります。記事作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、どうか鵜呑みにせず、ご自分でも確認してくださいますようお願いいたします。明らかな間違いを発見されましたらご教示いただけますと幸いです。
1. 文頭の数字はスペルアウトする。
例:× 50 men and 50 women were included in the study.
→○ Fifty men and 50 women were included in the study.
→○(より良い)The study population included 50 men and 50 women.
上記、3番目の文のように、文頭に数字が来ないように工夫するのがベターです。
その他、一般的な分数や、順序数(firstからninthまで)もスペルアウトします。
また10以上の序数は10thなどとしますが、”th”は上付き文字にしません。
2. 1桁の数字はスペルアウトする←このルールは実質、消滅
以前は「10以上の数字はアラビア数字、10未満の数字についてはスペルアウト」というルールがありましたが、現在では原則、1桁の数字にもアラビア数字を使用することになっています。
3. 2語から成る2桁の数字はhyphenでつなぐ。
21から99までの数字は2語の間をハイフンでつなぎます。
例:Forty-eight patients were randomized.
単位を伴う場合は、単位もスペルアウトします。
例:Two milligrams of Drug X was administered to the patient.
4. 数字が連続する時は、アラビア数字+スペルアウトで書く。
例えば「11歳男子2人」は
×”2 11-year-old boys”ではなく
○”two 11-year-old boys”とします。
5. 4桁以上の数字をカンマで区切らない
日本語では「1,000,000」など、3桁ごとにカンマで区切ることがありますね。
しかし世界には桁の区切りにカンマではなく、ピリオドを使う国やスペースを使う国があります。
そのため、カンマで区切ることは避けるべき。
また桁の多い数字は読みにくくなるので、3桁ごとに「thin space(=”m”の1/5または1/6の幅のスペース)」を入れます。
UnicodeではU+2009、HTMLでは” ”で入力。
例:1 000 000
6. 数字と単位の間にはスペースを入れるが例外あり
原則として数字と単位の間にはスペースをいれますが、以下の場合には、スペースを入れません。
- 数字と%の間
- 数字と度数記号(°)の間
- スラッシュ(/)の前後
その他、「●時ちょうど」はスペルアウトするというルールなどもあります。
例: five o’clock, at seven等
ご参考になりましたら幸いです。
参考書籍に関するお知らせ
記事作成に当たっては、以下AMA Manual of Styleのサイトと
こちらのテキストを参考にしました(後述の理由により、クリックしてもAmazonでは取り扱いがない場合があります。何卒ご了承ください)。
「薬事・申請における英文メディカル・ライティング入門」というタイトルで、全部で4巻あるうちの1冊目です。
お知らせ:残念ながら、こちらのHPに
「2019年8月30日をもって、または在庫がなくなり次第、販売を終了することを決定」
とあります。
すでにこの「I 改訂版」は完売し、Amazonでも中古を含め、他の3冊は取り扱いがありません(2019年4月19日時点)。
医学英語を学んでいる方は、もしどこかで見つけたら、中古でも購入しておくことをおススメします。
もともと高価(税抜5286円)ですが、メディカルライティングのセミナーを受けると思えば安いものかと思います(実際、こちらの書籍の内容は、セミナーの講演録として出版されました)。
入手困難な書籍の紹介となってしまい、すみません。