世界遺産の中でも常に人気上位にランクインするモン・サン・ミシェル。
幻想的でファンタジックな島のシルエットは、誰もが写真などで見たことがあるはず。
Bucket List「死ぬまでに行きたい場所」リストに入れている人も多いでしょう。
しかし、いざ行こうと思うと、いろいろ疑問がわいてきますね。

いつ行くのがよいのかな?

日帰りで十分なのかな、それとも1泊したほうがよい?

パリからは、どうやったら行けるんだろう?
ツアーがよいかな、それとも自力で行ける?
この記事では、2025年2~4月の47日間バックパックひとり旅で実際にモン・サン・ミシェルに行った私が「旅の計画の時に知りたかったこと」について、行ってみてわかった答えを共有しようと思います。
各項目についての詳細は、後日さらに詳しい記事につなげていこうと思いますので、まずは全体の「お悩みポイント」に対する提案を、私の経験に基づき紹介させてください。

「せっかく行くなら理想の旅にしたい!」と、私もたくさん調べました。
その甲斐あってモン・サン・ミシェルは、27か所を巡った私の旅のまさにハイライト!
「行ってよかった」トップ3に入ります。
私は、2025年3月満潮の時、自力で(ツアーではなく)行き1泊しました!
いつかは行きたい、でも一生のうちに、そう何度も訪れることができる場所ではないモン・サン・ミシェル。
だからこそ、あなたの旅が最高の思い出になるよう私の得た知識と経験を出し切って共有します。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。
モン・サン・ミシェルに行く時期は【潮位が高い時を狙え】
「モン・サン・ミシェル」と聞いてあなたが思い浮かべる景色は、どんな感じですか?
私の場合は「広い空の下、尖った屋根のある修道院が、こんもりとした島の上にあり、その姿が水面に反射している」というものでした。
つまり「海に浮かぶモン・サン・ミシェル」が見たかったのです。
そんな景色を自分の目で見るために、まず調べたのは「いつ行くのがよいのか」「ベストシーズンは、いつか」ということ。
●潮の予報=潮汐表をチェックする
●3月は寒すぎず混みすぎない時期
調べた結果、水に映るモン・サン・ミシェルを見たいなら潮が満ちている時でなくてはならず、そのためには潮の予報=潮汐表をチェックすることが大事だとわかりました。
そして幸いにも、私が旅をした3月頃は気候的にも寒さが緩み始める時期。本格的な観光シーズンが始まる少し前で、混雑もそれほどひどくない時期でした。
順番に説明します。
海に浮かぶモン・サン・ミシェルを見るなら「満潮干潮」をチェック!
私がモン・サン・ミシェルへ行ったのは、2025年3月2~3日の1泊です。
なぜこの日程だったかというと前述のとおり「海に映るモン・サン・ミシェルを見たかったから」。
そう、これです!

これを見るのが、47日間の旅全体でも優先順位1番!と言っていいほどの目標でした。
潮の満ち引きというのは1日に2回必ず起きているものの、水位がどのくらい上がったり下がったりするかは時期によって異なります。
そして満潮干潮の潮位の差が大きい時を「大潮(Spring Tide)」と言います。大潮の時、モン・サン・ミシェルは海に浮かんだように周りを水で囲まれた状態になります。
ちなみにこの「Spring」は「春」という意味ではなく「湧き上がってくる」という意味です。したがって大潮は春に限りません。
大潮によってモン・サン・ミシェル周辺の潮位が高くなり島の周囲が完全に海で覆われる日は、年間でも20日程度なのだとか。

私と同じく「海に浮かぶモン・サン・ミシェルを見たい!」なら、大潮の時を狙いましょう!
最も潮位が高くなる時には、島との往来に使われている橋も水没するそうです。
以下の動画でその様子を見ることができます。
なお大潮の時は、島と陸とは完全に往来ができなくなるので注意!
昔は溺れる人も多かったとのこと。
思いのほか海はみるみる満ちてきます。安全第一で、満潮時間はしっかり確認してください。
満潮時の水位12~13m以上の時を狙おう
では、いつ、どのくらい海面が上がれば、水面に映るモン・サン・ミシェルを見られるのか。
調べてみると満潮の潮位が12~13m以上なら島の周囲の浅瀬が海水で覆われることがわかりました。
次の疑問は「いつ潮位が12~13m以上になるのか」。

私が準備の段階で潮位を調べるためによく見たサイトをご紹介しますね。
モン・サン・ミシェル周辺の満潮干潮を知らせてくれるサイトはいくつかありますが、以下のサイトがわかりやすかったです。
●日本語ならこのサイト▼の「大潮満月情報」に、日付と時間がピックアップされています。

●フランス語なら「Destination Mont Saint-Michel Normandie」というサイトにカレンダーがあります。
ページ中央の「THE 2025 TIDAL FORECAST」を押すとカレンダーをダウンロードできます(2025年9月現在は2025年のカレンダー)。

カレンダー上でオレンジになっている日にちが干満の差が大きく、特に白抜き文字で記されているところは、モン・サン・ミシェルと陸との往来ができないくらい潮位が高くなる時です。

上の画像では、3月1日(土)~3日(月)そして3月30日(日)、31日(月)が白抜き文字になっています。
3月は寒さも緩み、混雑前でおすすめ
私の場合、日程は比較的自由に決められたので、2025年3月に2回あった大潮(3/1~3か3/30~31)のどちらにするかで悩みました。
他の目的地などを考えた結果、3月2日にモン・サン・ミシェルに着き1泊する計画を立てました。

実際に2025年3月に行ってみると寒さも緩んでいたうえに、まだ本格的な観光シーズン前。
それほど混雑もしておらず、ちょうどよい時期でした。
平均気温で見ると、2~3月のモン・サン・ミシェルは、同時期の東京に比べて1.5~3℃ほど気温が低いようです。
また3月初めは、観光シーズンというには少し早いようでした。もちろんモン・サン・ミシェルですから(笑)観光客はたくさんいましたが、修道院は並ばずに入れました。
11月~3月の第一日曜日は修道院の入場料無料
加えてラッキーだったのは、3月2日はちょうど第一日曜日。修道院の入場料が無料になる日でした。
修道院の入場料はシーズンごとに設定されており、3月は13ユーロ(2025年の情報。円安が続く2025年9月時点のレートで約2200円。おみやげが一つ買えちゃいます…)。
パリでも毎月第一日曜日は美術館などの多くが無料になりますね。
事前に調べたところでは「毎月第一日曜日はとてもとても混みます。長時間並ぶ覚悟で行ってください」といった情報がありましたが、私はまったく並ばずスルッと入れました。これも3月という、観光シーズンが本格スタートする前だったからかもしれません。
(島内ではたくさん日本人観光客を見かけましたが、修道院の中で会ったのは不思議なことに2,3組ほどでした。みんな修道院は興味ないのかな…。修道院の中の様子もまた別記事で紹介できればと思っています)
なお、ヨーロッパの人気観光地の多くがそうであるように、モン・サン・ミシェルの修道院も入る時にセキュリティチェックがあります。
あまり厳しくはないですが、チェックに引っ掛かりそうな物や大きな荷物は持って行かないようにしましょう。
モン・サン・ミシェル【日帰りより1泊がおすすめ】
さて、いつ行くかを決めたら今度は(パリから)日帰りで行くか、モン・サン・ミシェルで1泊するかも迷うところ。
私も少し迷いましたが、やはり1泊にしました。
1泊がおすすめの理由は「景色」と「時間」
理由は、2つ。
1つ目は、朝と夜のモン・サン・ミシェルも見たかったから。
2つ目は、満潮時つまり「朝9時半頃か夜9時頃まで」に移動を完了して観光するのは難しいと考えたからです。
上のカレンダーを見てわかるとおり、満潮の時間は1日2回。1回目は午前8時台から9時半くらい、2回目は夜8時半から10時近く(2025年3月の場合)でした。
3月の日没時間は7時15分頃なので、2回目、夜の方はもう暗くなっていて見られません(ライトアップされている時なら話は別ですが、ライトアップも常時ではありません)。
だとしたら朝しかない。ということで1泊に決定です。
●せっかく行くなら、朝昼晩のモン・サン・ミシェルを見よう
●移動時間、観光時間、体力を考慮に入れよう
結果、1泊にして本当に良かった!と思います。
見てください、この朝靄のモン・サン・ミシェルを。

くっきりはっきり海に映るモン・サン・ミシェルも魅力的ですが、朝日に照らされ少し霞んで見えるモン・サン・ミシェルも格別でした。
この辺りは牧草地もあって、のんびりとした田舎です。夜明けの空気は清々しく静かで、鳥たちが時折飛び交い、刻一刻と明けていく空の下、荘厳なモン・サン・ミシェルがある。その厳かな姿といったら…。
(3月初め、モン・サン・ミッシェル付近の日の出は7:53頃だったので、めちゃくちゃ早起きしなくてもこの景色を見られました)
朝靄のモン・サン・ミシェルを見た後、ホテルに戻り朝食ビュッフェを楽しんでから、満潮の時刻(9:27)に合わせて再び外へ(宿泊したホテルは、「ル ルレ サン ミッシェル」。後ほど紹介しますが、朝食ビュッフェのレストランからもモン・サン・ミシェルが見えました)。
ちなみに潮が引いている時の眺めはこんな感じ。

のどかな感じが伝わりますでしょうか。これはこれで素敵ですね。
そして、いよいよ満潮の時。
私が見たかった「海に映るモン・サン・ミシェル」がこちら!

ここを目指して、巡礼者が過酷な旅をしたというのもうなずける美しさ、荘厳さです。
モン・サン・ミシェルはぜひ1泊して堪能しよう!
パリから日帰りするとなると、移動だけで片道最低でも3時間半かかってしまいます。さらに島との往復、島内観光、修道院見学、お土産物探し、食事をする時間を考えると…。
かなり早起きして行っても、帰りは遅くなってしまうでしょう。自力移動の場合、列車やバスの時刻も考慮しないといけません。
私の場合は、以下の日程にして正解でした。
3/1(土)ローテンブルク(ドイツ)→(パリ)→レンヌ泊
3/2(日)レンヌ→モン・サン・ミシェル泊
3/3(月)モン・サン・ミシェル→(パリ)→マドリード(スペイン)
(これでも十分、忙しい旅でした…)
「パリから日帰りでも十分行ける」としている記事やYouTubeもありますが、私はお勧めしません。
せっかくはるばる憧れのモン・サン・ミシェルまで行くのなら、ぜひ1泊して朝昼夕の眺めを堪能することを強くお勧めします。
日帰りにするなら「荷物は軽く」がおすすめ
もしどうしてもパリなどからの日帰りにしたい場合は、なるべく荷物を小さくしましょう。
大きなスーツケースを持ってモン・サン・ミシェルの島内を移動するのは相当、大変です。
なぜなら、写真でもわかるとおりモン・サン・ミシェルはこんもりとした形の島になっていて、島内では石畳の階段を上るから。
「1日のうちにパリから移動し、島内観光をして、またパリに帰る」というのは、47日間で27か所をまわった私でも「ちょっと過酷じゃない?」と思います(笑)。

せっかく行くなら、1泊にしましょ♪
モン・サン・ミシェル【どうやって行くか】自力なら高速列車+バス
多くの場合、日本からの観光客はまずパリに移動し、パリからモン・サン・ミシェルに向かうと思われますので、パリからの移動という前提で紹介します。
「ツアーに参加する」というのもひとつの手ですが、本記事では自力で行った私の経験からお伝えしたいので、公共交通機関を使った行き方を紹介します。
パリから高速列車でレンヌ→バスでレンヌからモン・サン・ミシェル
私が利用したのはこちら▼の便です。
3/1 TGV inOui(高速列車)パリ・モンパルナス駅16:57発レンヌ駅18:25着
3/2 KEOLIS(バス)レンヌ12:45発モン・サン・ミシェル14:00着
3/3 KEOLIS(バス)モン・サン・ミシェル11:15発レンヌ駅12:30着
TGV inOui(高速列車)レンヌ駅13:35発パリ・モンパルナス駅15:08着
※ただし3/1の遅延の列車の遅延のためレンヌに着いたのが夜8時過ぎ…。列車が時刻通りに走らないおそれもありますね。
なおレンヌも可愛らしい雰囲気の素敵な町でした。
TGV inOuiもバスも要予約なのでご注意ください。また本数も限られています。
料金に関しては、私は今回の旅ではユーレイル グローバル パス(1等チケット2か月有効)を買ったので、追加で払ったのは高速列車予約代12.72米ドル+23.32米ドル(当時のレートで1950円+3710円)。
ちなみにヨーロッパの高速列車は、運賃が固定ではありません。航空券と同じく時期により料金が変動します。往復の高速列車予約代金が違うのはそのためです。
高速列車は早く予約するほどお得。予定が決まったら早めに予約することをお勧めします。
またTGVは全席予約制です。予約しないと乗れませんのでご注意ください。さらに、乗る前にセキュリティチェックもありますので、時間に余裕を見て駅に到着するようにしましょう。
モン・サン・ミシェル:おすすめホテル【ル・ルレ・サン・ミッシェル】
さて「1泊がおすすめ」とお話してきましたが、ではどこに泊まるか?
対岸?それとも島内?
私にとっての最優先事項は「モン・サン・ミシェルの姿を見る」だったので、宿泊は島内ではなく対岸にしました。
島の中に入ってしまうと、モン・サン・ミシェルの全景は見られませんから。
モン・サン・ミシェルを島の外から眺められるホテルがおすすめ
今回の旅では、ホテルはすべてBooking.comで探して予約しました。
私が選んだのは「ル ルレ サン ミッシェルLe Relais Saint Michel」。
決め手はなんと言っても「部屋からモン・サン・ミシェルが見えること」。
※部屋タイプがいくつかあるので「モン・サン・ミシェル・ビュー(with Mont-Saint-Michel View)」と付いた部屋を予約してください(その他の部屋からは見えないかもしれません)。ただしモン・サン・ミシェル・ビューの部屋でも、夏は「木が茂っていてよく見えなかった」という口コミもありました。この点でも春先がおすすめですね。

島を眺められる部屋にいると、「モン・サン・ミシェルに来たんだな」という実感が湧きました。
さらにこのホテルは、朝食ビュッフェを提供するレストランからもこのように▼モン・サン・ミシェルが見えます。

また「ル ルレ サン ミッシェル」はホテルの前に無料シャトルバスのバス停があるので、モン・サン・ミシェルから帰ってくるのもラクでした。
行きは、モン・サン・ミシェルを見ながらわくわくして向かっていくので歩くのも苦になりません。でもほぼ階段ばかりの島内を観光した後、歩いて帰ってくるのは結構大変です(島からホテルまでは約2.3km)。
その点、シャトルバスは無料で、バス停がル ルレ サン ミッシェル ホテルのエントランスから徒歩1分かからない近距離にあり、とてもありがたかったです。

ホテルの目の前にシャトルバスのバス停があるのは、とっても楽でした
シャトルバスの本数は多いので、もし人が多くて乗り切れず1本見送ったとしても、次のバスを待つ方が歩くよりラクです。
それにしても、部屋からモン・サン・ミシェルが見えるというのは本当に嬉しかったです。
このホテルにはコーヒーメーカーやコーヒーテーブルも備わっていたので、観光から帰って、部屋でくつろぎながら好みの飲み物をいただけます。
(紅茶、コーヒーの他にハーブティーもありました)
ゆったりと椅子に座って窓の外を見れば、そこにはモン・サン・ミシェルがある…。なんて贅沢なんでしょう。
おかげで日暮れや早朝も、部屋でリラックスして景色を堪能できました。
島内に泊まるなら「荷物を持って徒歩移動」の覚悟を…
モン・サン・ミシェルに限らず、ヨーロッパの多くの観光地ではスーツケース移動は大変です。
石畳だったり、建物によってはエレベーターもなかったり。
上述の通りモン・サン・ミシェルは島なので、当然、中は平坦ではありません。
島内に泊まる選択をしたら、重い荷物を持って階段を上る覚悟が必要です…。
モン・サン・ミシェルに行くなら潮位をチェックして1泊で!
今回の旅を計画し始めて早い段階で「ここには行く!」と決めていた目的地が、モン・サン・ミシェルでした。
47日間の旅は、35年前のバックパック旅行をたどるのが当初の目的だったものの、いざ計画を立て始めるとそのとおりに行かず…。
それでも限られた時間の中で「どうしても訪れたい」と思ったモン・サン・ミシェル。行ってみると「やはり来てよかった!」と心から思う場所でした。今も、あの景色は大切な旅の思い出になっています。
大潮の時を狙ったことにより、思い描いたとおりの水面に映るモン・サン・ミシェルを見て、1泊したことにより朝日に照らされる姿も見ることができました。
もし日程の自由が利くのであれば、満潮の水位が高い時に1泊されることをお勧めします。
大潮は春と秋にあるようです。2025年春は3、4月、秋は9、10、11月にありました。秋も、観光シーズンのピークが過ぎていて、よいかもしれませんね。
あなたの旅も、素晴らしいものになりますように♪一生忘れられない思い出をつくりましょう。