グローバル化やテレワークの増加に伴い、人気が高まっている実務翻訳。
英語などの語学が得意な人には、魅力的な仕事ですね。
私も50歳になる直前に、メディカル翻訳を学び(正確には48歳5か月から)、就職にも成功(正確には48歳11か月)しました。
この記事では理系バックグラウンドなし48歳で医薬翻訳業務に就職し、今では外資系の製薬企業に正社員として勤める私が、翻訳講座以外で勉強した内容を紹介します。
翻訳を学んだ講座の詳細は他の記事「未経験でも就職できた【医療メディカル翻訳おすすめ講座】在宅ワークを目指す人にも!」で紹介しています。私が実際に学習した翻訳講座について書いていますので、これから翻訳の学習をしたいとお考えの方は、ぜひご覧ください。
※2021年現在、私の業務には翻訳は含まれませんが、症例を読み解くなど医学的知識も必要になっています。
※「目次」▼を開くと、見たいところにジャンプできます。
医薬関連の翻訳をするために読んだ本・参考になった本
メディカル翻訳をするなら、英語だけでなく医学薬学の知識も必要です。
翻訳講座の中には、医学知識もある程度は学べるようにカリキュラムが組まれているコースもあります。
例えばこちら▼のフェローアカデミーには、メディカルだけでも複数の講座があります。
メディカル以外にも、豊富なジャンルの講座があるので、資料請求をしてみてください。無料です!
とはいえ、やはり講座以外にも、知識は深めれば深めるほど有利。
基礎知識があれば、その部分はリサーチする必要もなくなり、原文の理解もはやくなります。
医学薬学のバックグラウンドがない私は薬理学や生理学、病理学など医学薬学関連の本を買ったり図書館で借りたりして、基本的な知識を学びました。
体の仕組みについて学ぶのはとても面白く、感動さえ覚えたものです。
入門編で図解多めの本がわかりやすくておすすめだよ!
(「ヘンレのループ」って知ってる?あんなに小さい仕組みを見つけたヤーコプ・ヘンレさん、すごい!人間のからだってすごい!感動!!)
以下の書籍が特に参考になりました。
史上最強図解 これならわかる!生理学|照井 直人
身体の各器官がどのように働いているのか、たくさんの図とともに解説されています。
普段生活する中で特に意識していない
「心臓ってどうなってるの?心電図って何が分かるの?」
「尿はどうやってできるの?」
「ホルモンってなに?どんなホルモンがあるの?」
などごく初歩的な体の仕組みがわかります。
図解入門よくわかる病理学の基本としくみ|田村 浩一
安全性情報の翻訳には、病理検査結果の所見を訳すことがあります。
病理専門用語や、どういうことを調べた結果なのかを知るためにとても参考になりました。
病理判断に使用する画像なども多めに掲載されています。
おかげで「画像所見」などを訳す際に、病理医などのコメントの意味をイメージしやすくなりました。
図解入門よくわかる薬理学の基本としくみ|當瀬 規嗣
メディカル翻訳をする際に扱う文書では、薬が頻繁に登場します。
それらがどんな働きをするのか、専門家ならもちろんわかっているはずという前提で説明もなく出てくるもの。
薬の常識や入門レベルの知識を得るにはぴったりの本です。
医薬品開発‐承認申請‐市販後業務のための知っておきたい英単語・英語表現|内田たけみ
こちらは医薬品承認申請、市販後業務等の文書を訳したい人には特におすすめです。
業務に就いて最初の頃は、この本を手元に置いて、確認しながら翻訳をしていました。
安全性情報をやりたい方はぜひチェックしてみてください。
医学英語の文法と書き方|横井川 泰弘
2004年発売なので、中古でもちょっと手に入りにくいかもしれませんが、安全性情報の翻訳(日英)をする上で非常に参考になった書籍です。
間違えやすい冠詞や前置詞など文法の説明や、医学文書で使われる独特の表現を英語ではどう表現するかが詳しく載っています。専門用語は日本語でもなじみがなく苦戦しますね。
横井川先生の本は、こちら▼も参考にしています。
医学論文を英訳するテクニックについてはこちら▼も。
アリス博士の人体メディカルツアー―早死にしないための解剖学入門|アリス・ロバーツ
人体の仕組みや機能について易しく解説されています。
読み物としても楽しめました。
「赤ちゃんの肺は生き生きとした繊細なピンク色。でも大人になると、非喫煙者でも工場を思わせる灰色へと変わっていく」といった話がたくさん載っていて、リアルで興味深いと私は思います。
『病気がみえる』『薬がみえる』シリーズ
よくおすすめされているのが『病気がみえる』『薬がみえる』シリーズ。
ですが、こちらは1冊約4000円とお高めです。
『病気がみえる』(Vol.1~12)『薬がみえる』(Vol.1~4)合わせて16冊にもなるので、自分で購入するのは負担が重くなりますね。
専門でやりたい診療科や特に興味がある疾患があれば、それが載っている巻だけを買ってもいいかもしれません。
私が最初に就職した会社(CRO:医薬品開発業務受託機関)では『病気がみえる』は会社が全冊購入し、オフィスに常備していました。
業務の中で、医師のコメントなど専門用語の意味が分からないときなどに参照していました。
MRテキスト(製薬会社MR資格取得のための教科書)
MR(製薬会社の医療情報担当者)が研修で使うMRテキストも参考になります。
こちらは自分で4冊とも購入しました。
医薬品の製造販売についてだけでなく、基本的医学知識などが学べます。
全4冊で価格は合計約12,000円くらい。
私が買った時は『MRテキスト2012(2015年版)』でしたが、今は『MRテキスト2018』が出ています。
以前の記事でご紹介した「薬事・申請における英文メディカル・ライティング入門」I~IVも参考になりますが、こちらは販売が終わってしまったので割愛。
医学辞書は買わなくていい理由【リサーチ能力】の方が大事!
医薬系翻訳を勉強する際、よくすすめられたのがステッドマンなどの医学辞書です。
私も数万円するCD-ROM版を買いました。
しかし実際にはほとんど使っていません。
正直、高価な医学辞書は不要でした(買わなきゃよかった…)
医薬品業界ではMedDRAという辞書アプリを使用する
なぜ医学辞書を使わないかと言うと、医薬品業界にはMedDRAという辞書(アプリケーション)があり、業務ではそちらを使うからです。
MedDRAは国際的に情報を共有できるよう、統一した用語を使うために開発されたもので、会社が会員となって年会費を支払い、業務で使えるようになっています。
ちなみに個人でも会員になれますが、年間30万円(税別)と高価すぎるので、あまり現実的ではありません(2019年時点)。
Google英文ライティング:英語がどんどん書けるようになる本|遠田和子
また訳語を調べる際などには、辞書を当たるより、インターネット検索ができるようになることの方が重要です。
調べもの・ネット検索にもコツがあります!
素早く目指す情報を見つけられることが重要です
Google検索のコツを学んだのは、主にこちらの本。
リサーチ力は翻訳者にとって、必須能力。
高い辞書を揃えるより、調べもののコツを覚えましょう。
遠田先生の他の本も、勉強になります。
書籍以外に翻訳のためにできるおすすめ勉強法:NHKラジオ講座
書籍を読む以外にも、普段の生活で取り入れられる英語学習法もあります。
例えば私は10年以上、NHKのラジオ講座を聴いています。
「NHKラジオ講座」で英語力を底上げ
上記以外で、実際の業務の中で「やっておいてよかった」と感じた勉強は、NHKの「ラジオ英会話」です。
安全性情報で扱う文章は、医師など専門家の書いたものだけではありません。
患者さんからの報告やコールセンターでの会話も含まれます。
そのため、学校ではあまり習わないけれど日常会話でよく使う英語表現を知っている必要があります。
例えば患者さんが症状を訴える時に使いそうな「鼻水」や「のどの痛み」。
英語ではそれぞれ「runny nose」「sore throat」といいます。
こうした表現はNHKのラジオ英会話などの講座を聴いていると出てきます。
NHKのラジオ英語講座についてはこちら▼で総まとめしていますので、ご覧ください。
「翻訳は一生勉強」楽しみながら知識を増やそう
ここでご紹介した本は、特に役に立った本、参考になった本です。
その他にも脳科学などの本などが好きで、普段から読んでいます。
翻訳を仕事にするようになってからつくづく思うのは、「勉強が好きな人は翻訳に向いている」ということ。
新しい知識を仕入れたり、調べものをしたりが「楽しい!」と思える方には、ぴったりの天職になることと思います。
もしこれから翻訳の勉強を始めようという方におすすめの翻訳学校・翻訳講座はこちら▼で詳しく紹介しています。よろしかったらご覧ください。
どの翻訳講座で学ぶか迷ったら、まずはフェローアカデミーの資料請求▼をおすすめします。
実務翻訳だけではなく、文芸翻訳・映像翻訳の講座も豊富です。
レベル別や通学科/通信科があるので、自分の志望や環境に合わせたコースが見つかるでしょう。
年を取っても、どこに住んでいても、好きな英語を使って仕事ができる!!
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