メディカル翻訳を勉強したい時、何から始める?医学薬学分野の翻訳はどんな人が向いている?お答えします

メディカル翻訳

「英語を使った仕事がしたい!在宅ワークもいいな」そんな方は『翻訳』に取り組んでみてはいかがでしょう

ますます国際化が進む中、英語を使って仕事をしたいという方も多いと思います。

英語を使った仕事はたくさんありますが、その中で、在宅ワークも視野に入れると、翻訳はかなり有力な選択肢になるのではないでしょうか。

翻訳にもさまざまなジャンルがありますが、文芸より圧倒的に需要が多いのは実務翻訳。

実務翻訳には、主に以下のような分野があります。

  • 医療(医学薬学)
  • 特許
  • IT・情報通信
  • 技術・エネルギー・環境
  • 機械・電気電子
  • 金融
  • ビジネス一般(契約書・マニュアル・社内文書)

中でも、医療関連、特許、ITは特に需要が多く今後も増えていくと言われています。

これから学習を始める方は、これらの分野を攻めると有利かもしれません。

上記の分類に当てはまらない文書等もあり、また例えば「医療×特許」といった複数の分野にまたがる仕事もあります。

得意分野を掛け合わせると、人材としての希少価値が高まり、高報酬が狙えそうです。

私は理系のバックグラウンドはないものの、医薬関連のメディカル翻訳を勉強し、約半年後、翻訳が業務に含まれる仕事に就くことができました。

理系のバックグラウンドなし、ただの主婦だった50歳手前の私も医薬関連の会社に就職できた

私は実は50歳になる直前まで、フルタイム勤務の経験はほぼゼロ

それまではアルバイトで主に週末だけのフレグランス販売や、半年程度、小さな会社で時短の事務的業務をしたことがあったくらい。

その頃、時給は1000円くらい。当時は「今月のお給料は10万円を超えた!」と喜んだ記憶があります。

しかしこの先、このままではいけない!と考えた末、思いついたのが

「医療×英語」なら、もっと稼げるかもしれない

そうして私は2015年夏の終わりから勉強を開始したのです。

それから約半年後に、ご縁あって最大手CRO(医薬品開発業務受託機関)に業界未経験から就職することができ、安全性情報の翻訳などを中心とした業務に就くことができました。

おかげ様で最初の1年で女性の給与所得者年収中央値程度は稼げるようになりました。未経験でフルタイム勤務が初めてにしては、これはなかなか良いのではないでしょうか。

ちなみに就職当時の私はTOEICスコアは820点くらい(今はもう少し上です。ま、言うほど変わりませんが)。めちゃくちゃ英語力があるというわけではありませんでした。

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メディカル翻訳(安全性情報)に従事する前に勉強したこと

学習を思い立ってから就職までの約半年間で、私がメディカル分野の翻訳を仕事にするため学習したのは以下の講座です。

最後の個別指導を除く3つは通信講座で、それぞれ3~6ヶ月が標準受講期間となっているコースです。(個別指導は、3つの講座が終わる頃、1ヶ月ほど通いました)

通信講座を3つ同時にやるというのは、結構ハードでした。

でも私にはその時、時間の猶予はなく、どうしてもなるべく早く仕事に就かなければいけない状況にあり、「できない」などと言っていられませんでした。

当時、私が立てた「作戦」は

  • DHCの講座で医薬品が製造販売される流れや、治験などに欠かせない統計の知識などを学ぶ
  • フェローの実務コース(英日)で幅広い実務翻訳に触れる
  • サン・フレアの医学薬学コース(英日7~8割、日英3~2割)でメディカル翻訳の基本を学ぶ

振り返ってみると、わりと良い選択だったように思います。

またそれら3つの講座を修了後、アンセクレツォの講座を受講。その後従事することになる安全性情報についての日英翻訳を学んだので、実際の業務に就いた時も、未経験ながらスムーズに開始することができたと思います。

就業してからもさらに学習を続け、以下のコースも受講しました。

  • DHC日英メディカルコース
  • フェローアカデミー マスターコース(メディカル)

(それ以外にも就職前から在職中にかけて

  • 日本翻訳連盟(JTF)が主催するセミナー・イベントに参加
  • 1日程度の翻訳セミナーに参加
  • NHKラジオ英語講座で英語力増強

などに取り組んでいます)

翻訳を学ぶ時、通信講座と通学講座では、どちらがおすすめ?

私は時間的・経済的理由からほとんど通信講座を選択しましたが、通学講座に通える条件の人は、通学の方がいいかもしれません。両者の違いは以下のとおりです。

通信講座の良い点・注意点

  • ○ 通わなくていい分、移動時間が節約できる
  • ○ 自分のペースで学習できる
  • ○ 受講料が通学講座より安いことが多い
  • × 添削が返ってくるまでに時間がかかる
  • × 自分でスケジュールを管理して課題を提出しなければならない

通学講座の良い点・注意点

  • ○ 通学講座なら他の生徒の訳文に触れる機会がある
  • ○ 通学講座ならリアルタイムで先生と双方向のやり取りができる
  • ○ 1回のレッスン当たりの情報量が増える
  • × 一般的に受講料が高め
  • × カリキュラムが固定なので、決められた期日より早く終わらせることができない

また私の場合、難聴なので、セミナーに参加した時、先生の言葉が聴き取りづらく感じました。マンツーマン指導のクラスだったアンセクレツォでは問題ありませんでしたが、クラス単位で行う通学講座はあまり向いていないなと思いました。

上記以外で、実際の業務の中で「やっておいてよかった」と感じた勉強は、NHKラジオ英会話

安全性情報では、医師など専門家の書いた文章以外に、患者さんからの報告やコールセンターでの会話も含まれるので、学校ではあまり習わないけれど日常会話で使う英語表現を知っている必要があります。

医薬関連の翻訳をするために読んだ本・参考になった本

メディカル翻訳をするなら、英語だけでなく医学薬学の知識も必要です。

そういったバックグラウンドがない私は薬理学や生理学、病理学など医学薬学関連の本を買ったり図書館で借りたりして、基本的な知識を学びました。

体の仕組みについて学ぶのはとても面白く、感動さえ覚えたものです。

以下の書籍が特に参考になりました。

(参考図書は、ここに挙げた以外にもたくさん目を通し、有益なものも多かったのですが、すべて挙げると収拾がつかなくなるので、一部に留めます。なお就業後に読んだものも含みます)

史上最強図解 これならわかる!生理学

身体の各器官がどのように働いているのか、たくさんの図とともに解説されています。

普段生活する中で特に意識していない

「心臓ってどうなってるの?心電図って何が分かるの?」

「尿はどうやってできるの?」

「ホルモンってなに?どんなホルモンがあるの?」

などごく初歩的な体の仕組みがわかります。

図解入門よくわかる病理学の基本としくみ

安全性情報の翻訳には、病理検査結果の所見を訳すことがあります。

病理専門用語や、どういうことを調べた結果なのかを知るためにとても参考になりました。

医薬品開発‐承認申請‐市販後業務のための知っておきたい英単語・英語表現

こちらは医薬品承認申請、市販後業務等の文書を訳したい人には特におすすめです。

業務に就いて最初の頃は、この本を手元に置いて、確認しながら翻訳をしていました。

医学英語の文法と書き方

2004年発売の書籍で、ちょっと手に入りにくいかもしれませんが、安全性情報の翻訳(日英)をする上で非常に参考になった書籍です。

間違えやすい冠詞や前置詞など文法の説明や、医学文書で使われる独特の表現を英語ではどう表現するかが詳しく載っています。専門用語は日本語でもなじみがなく苦戦しますね。

アリス博士の人体メディカルツアー―早死にしないための解剖学入門

人体の仕組みや機能について易しく解説されています。

読み物としても楽しめました。

その他、役に立った本・参考になる本

よくお勧めされているのが『病気がみえる』『薬がみえる』シリーズですが、こちらは1冊約4000円。

2シリーズ全部で15冊にもなるので、自分で購入するのは負担が重くなります。

『病気がみえる』は幸い、会社が全冊購入し、オフィスに常備されていたので、業務の途中で医師のコメントなどで専門用語の意味が分からないことがあると参照していました。

 

MR(製薬会社の医療情報担当者)が研修で使うMRテキストも参考になります。

こちらは自分で購入しました。医薬品の製造販売についてだけでなく、基本的医学知識などが学べます。4冊で価格は約10000円くらい。

 

以前の記事でご紹介した「薬事・申請における英文メディカル・ライティング入門」I~IVも参考になりますが、こちらは販売が終わってしまいました。

医学辞書はどうする?「とりあえず買わなくていい」

また医薬系翻訳に従事する人にステッドマンなどの医学辞書がおすすめされていることが多く、私もCD-ROM版を買いましたが、

買わなくてもよかった

というのが今のところの感想です。

なぜなら、医薬品業界にはMedDRAという辞書(アプリケーション)があり、業務ではそちらを使うからです。

MedDRAは国際的に情報を共有できるよう、統一した用語を使うために開発されたもので、会社が会員となって年会費を支払い業務で使えるようになっています。

ちなみに個人でも会員になれますが、年間30万円(税別)と高価すぎるので、あまり現実的ではありません。

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どんな人がメディカル翻訳に向いているのか?

1. 勉強が好きな人・調べものが苦にならない人

「勉強が好き」というと奇異に感じられるかもしれませんが^^;「知ること」が好きな人には向いているでしょう。

翻訳をやるなら、一生、勉強です。学ぶことが嫌いな人にはおすすめできません。

加えて医学は、日々進歩しています。

新しい技術を使った治療法や薬剤が開発されているので、そういった情報を常にキャッチアップしていく必要があります。

分からないことが出てきたときに、調べるのが億劫でない人もいいですね。

情報があふれている現代は「調べ方」にもコツがあります。上手なキーワードを選択し、求める情報を短時間で探り当てられる人は、翻訳作業に向いているでしょう。

2. 言葉にこだわりがある人・言葉が好きな人

翻訳は、細部にこだわれる人の方がおすすめです。

例えば助詞について、ここは「は」を使うべきか「が」を使うべきかといったことや、句読点の打ち方などまで深く考えられるタイプなら、翻訳という作業に面白みを感じられると思います。

医学用語は難解に感じられるでしょうが、疾病や器官を表す単語などは、接頭辞や接尾辞を覚えることで、知らない単語でもだいたいの意味をイメージすることができます。そういった知識を得ることに喜びを感じられる方にはおすすめです。

3. 細かい作業が好きな人・コツコツ作業ができる人

想像できると思いますが、翻訳には細かい作業が伴います。

特にメディカル分野の翻訳は、データの数字など小さな間違いが重大な危険を生むので、ひとつひとつ、きちんと確認しながら作業できる人におすすめです。

また黙々とPCに向かって作業する仕事なので、地道にコツコツ取り組める人におすすめです。

4. 枝葉に注意するだけでなく、木全体も眺められる人

翻訳は横のものを縦にするだけではありません。

原文に書いてあることだけを「文字通り」に理解するだけではなく、全体の流れにおかしなところはないか、時々、俯瞰して確認する必要があります。

原文を書く人は、医療のプロであったとしても、文章のプロではありません。日本人がみんな上手に文章を書けるわけではありませんよね。

時々、何を言いたいのか分からない文章もありますし、そのような、言葉の使い方に間違いがあったり、省略しすぎて意味が幾通りにも取れたりする文章も、真意を汲み取って、きちんと訳さなければいけません。

原文に書かれていることを正確に理解したうえで翻訳し、なおかつ、症例の経過全体に整合性があるかなどにも目を配れることが大切です。

 

もしあなたが、以上の性質を備えているようでしたら、ぜひメディカル翻訳に挑戦してみてください。

人間が不老不死にならない限り、医療はこの先、ずっと廃れることのない分野です。

AI翻訳がどう発達するかはまだわかりませんが、新しい知識をどんどん吸収していける人は、きっと活躍できると思います。

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